みやしんブログ(宮川森林組合)

未来に引き継ぐ豊かな森林。緑の森や林を守り育てる仕事をしています。
カレンダー
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>
カテゴリー
最近の記事
過去の記事
三重県大台町
宮川森林組合ホームページ

Odai Shop

大台町

奥伊勢フォレストピア

大杉谷登山センター



大杉谷エコパーク
携帯QRコード
qrcode
リンク集
その他
無料ブログ作成サービス JUGEM
<< 瀧原宮(三重県大紀町)〜伊勢神宮(内宮)別宮〜 | main | 10月 伊勢内宮 おかげ横丁の実生栽 >>
9月 初秋の大台ケ原を歩く

JUGEMテーマ:自然風景

JUGEMテーマ:お出かけ

 

 

大台ケ原は、奈良県と三重県の県境である台高山系にあり、

1695mの日出ヶ岳は、日本百名山のひとつでもあります。

 

また、このあたりは、紀伊半島3県にまたがる

吉野熊野国立公園に指定されています。

 

大台ケ原・大峰山・大杉谷ユネスコエコパークはまだ日が浅いですが、

吉野熊野国立公園は、昭和11年に指定され、はや80年が経過しています。

 

 

この大台ケ原は、三重県側へ流れる宮川と和歌山県側への熊野川、

そして奈良県側に流れる吉野川(紀の川)の源流部にあたります。

 

現在は立ち入り禁止になっていますが、

大台ケ原には三津河落山(さんづこうちやま)という場所があり、

3つの川の分水嶺になっています。

 

大台ケ原

 

 

標高1570m前後のこちらの駐車場まで、大台ケ原ドライブウェイが開通したのが昭和36年。

 

天候によっては、濃霧に覆われて視界ほぼ0mになる尾根づたいに

全長およそ19.6kmのドライブウェイを開設するなんて、

当時の高度経済成長の波があってのことだったのだろうと、思います。

 

それでも、そのおかげで、

1695mの山頂まであと約1.7kmの地点まで自動車でいくことができる、とてもアクセスのよい山になっています。

 

近畿地方の百名山は、この大台ケ原山と、お隣の大峰山系の大峰山

(八経ヶ岳。修験道でいう「大峰山」は山上ヶ岳のほうです)と、伊吹山の3つ。

遠方からおこしの場合は、八経ヶ岳と大台ケ原山につづけてのぼられることもあります。

 

この大台ケ原で、森林再生応援団というイベントが毎年開催されています。

 

 

 

今年は、9月の最終日に開催されました。

 

大台ケ原は、日本有数の多雨地帯です。

三重県側の海岸からの直線距離が15〜20Km程度であること、

台風の通り道であったことなどから、屋久島についで雨が多い場所といわれてきました。

 

とくに、昭和34年9月26日、紀伊半島の潮岬に上陸した伊勢湾台風による被害は甚大で、多くの木が倒れたことによって、森林の衰退がはじまりました。

 

立ち枯れの木が広がる正木峠の風景は、「廃墟」という表現をされることもあります。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

伊勢湾台風をきっかけに、その後は、ニホンジカの食害によっても、

森林の衰退は加速しています。

 

ニホンジカが皮をはいだ木。

 

大台ケ原中道

 

 

ラス巻といいますが、

このように幹や根をネットで覆って、シカの食害から木を守ります。

 

ラス巻

 

大台ケ原 ラス巻

 

 

 

それでは、初秋の大台ケ原散歩を。。。

 

中道にあった木。

 

大台ケ原中道

 

 

遠くに立ち枯れの木。

 

大台ケ原中道

 

 

紅葉している木もあります。

 

大台ケ原中道

 

 

そして、オオイタヤメイゲツ。

 

カエデ科カエデ属の広葉樹で、紀伊半島では、比較的高所に生育しています。

このオオイタヤメイゲツが、黄色から橙をへて赤までのグラデーションで紅葉すると、とても繊細でみごたえがあり、あでやかでうつくしいです。

 

大台ケ原の紅黄葉は、よく、錦に織りなす・・・といった形容をされますが、

このオオイタヤメイゲツは、紅葉のメインとなる木のひとつです。

 

大台ケ原オオイタヤメイゲツ

 

 

大台ケ原オオイタヤメイゲツ

 

 

オオイタヤメイゲツのシルエット。

 

大台ケ原オオイタヤメイゲツ

 

 

こちらは新緑のころのオオイタヤメイゲツ。

 

オオイタヤメイゲツ

 

 

中道をこえて正木ヶ原の方へ。

あちこちに立ち枯れの木が点在しています。

 

大台ケ原と大峰山系の一部は、トウヒが生育できる南限で、

この正木ヶ原付近は、伊勢湾台風の前までは、うっそうとしたトウヒ林が

生い茂っていたそうです。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

苔むした切り株。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

訪れた日は、風が強く、乾燥気味でしたが、ひっそりと苔たちも

生育していました。

 

大台ケ原苔

 

 

大台ケ原(東大台)周遊の登山道は、

たいはんが比較的ゆるやかで歩きやすいのですが、

棒雨といわれる滝のように激しい雨がふるときには、いっときで、

道が雨水で川にようになってしまうことがあるので、

こういった手入れがされている場所もあります。

 

大台ケ原登山道

 

 

立ち枯れの木の集団をながめて。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

近くでみるとこんな感じです。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

この木にもラス巻のあとが。

以前の網は金網で、3年ほどで樹皮に食い込んでいました。

 

今回使用したネットは、プラスチック製。

こうして朽ちてしまう鉄網がよいのか、自然に還らないプラスチック製がいいのか。

 

どちらにせよ、いったん保護したのなら、定期的な取り換えが必要です。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

正木ヶ原では、立ち枯れている木や倒木が、完全に風景の一部となっています。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

立ち枯れや倒木の木の間に、のびのびと枝をのばしている低木もあります。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

立ち止まっているだけで、

なんだかいまにも動き出しそうな木たち。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

実生の稚樹がこんなところにも。

 

大台ケ原 稚樹

 

 

立ち枯れの木のまわりには、繁茂するミヤコザサが。

シカはこのミヤコザサを好みます。

 

くくり罠などで年間100頭近くのニホンジカが捕獲されているので、日中にこのあたりでシカを見かけることは少なくなりましたが、夜間や朝方には、シカたちの餌場となっています。

 

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

まわりの風景の移り変わりをみてきた木。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

山肌にある木は、風があたって気温がさがることもあり、紅葉がすすんでいるところも。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

紅葉

 

 

こんなゆったりとした木も。

 

大台ケ原正木ヶ原

 

 

正木峠へ。

まるで墓標のような、立ち枯れの木がならぶ斜面。

こういった雰囲気が、「廃墟」と表現されるさまかもしれません。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

正木峠には、植生を守るために木道が整備されています。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

立ち枯れの木の間をぬってのびる木道のまわりには、

緑がのこる低木も彩を添えています。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

晴天の折には、こうして、遠くに尾鷲方面の海が見えます。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

あざやかに紅葉した木。

横に見えるネットは、実生の稚樹をまもるためのもの。

 

こうしてネットで囲うとシカの害を防ぐことはできますが、シカがはいれないことでミヤコザサが大きくなって、トウヒなどの稚樹を覆い隠してしまい、せっかく芽吹いても、日が当たらないことで生育できなくなってしまうとのこと。

 

だから、定期的にササ狩りをして、稚樹に光を当ててあげる必要があるという。。。

 

「守る」という人間目線での行為ですが、

いちど手をかけてしまうと、どこまでも手をかけないといけなくなる。

その連鎖をどこまでし続けるのか。

 

ひとつの課題ですね。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

うっそうとしたトウヒ林だったころには、なかっただろう景観。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

環境省の近畿地方環境事務所の所長さんがおっしゃってました。

 

ーー

大台ケ原というと、伊勢湾台風まえのうっそうとした森林を思い浮かべる人もいるが、台風後の立ち枯れの木の風景を思う人も多くなった。

 

森林の再生と保護といっても、どこをめざすのか。

(どちらの風景が自然なのか)

どこまでするのか、おもいあぐねる部分もある。

 

けれども、とりあえず、いま残っている木をシカの食害から守り、

寿命をのばすことは、必要なんじゃないか。

ーー

 

自然のことは、実は、はっきりとした正解はないのかもしれません。

 

自然のサイクルは、人間の一生よりも長い。

 

自然災害という言葉も、人間目線であって、

長い自然のサイクルの一部の自然現象でしかない。

 

自然を守ると人間がいっても、

長い自然のサイクルのほんといっときに、

人間目線の手をほんの少しくわえるだけにすぎないのかもしれない。

 

国立公園で、環境省の要職のかたのやわらかい物言いに触れて、明解な答えのないなかでの行政の一端を感じて、なんだかほっとしました。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

いま、現在の正木峠の、これが自然な姿。

 

空にも海にも近い大台ケ原では、自由に広がる雲も、むこうに見える海も、すがすがしい気分にさせてくれます。

 

大台ケ原 正木峠

 

大台ケ原 海

 

大台ケ原 正木峠

 

 

木道のかたわらで確実に育っている幼い木。

 

大台ケ原 稚樹

 

 

正木峠も頂上近くなると、まわりのシロヤシオが深紅に紅葉しています。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

こちらがシロヤシオ。

枝先に5枚の葉が輪生状につくので、ゴヨウ(五葉)ツツジといわれることも。

(シロヤシオの花は、敬宮愛子さまのお印に用いられています。)

 

大台ケ原 シロヤシオ

 

 

こちらがシロヤシオの花。

大台ケ原では、5月の終わりから6月にかけて咲きます。

 

大台ケ原では5月に咲くシャクナゲが有名ですが、シャクナゲが終わったあと、このシロヤシオの上品な白い花が咲き乱れるときも、とても初々しくうつくしい季節です。

 

シロヤシオ

 

こちらはめずらしい、少しピンクがかかった花。

 

 

シロヤシオ

 

シロヤシオ

 

 

シロヤシオは、このあたりでは、比較的早くから紅葉しはじめます。

真っ赤に紅葉しているさまは、まるで、赤い花のようです。

 

大台ケ原 シロヤシオ

 

 

 

正木峠から最高峰の日出ヶ岳(ひでがだけ、1695m)をながめて。

 

三重県側の大杉谷へと下る約14kmの登山道は、この日出ヶ岳山頂からはじまっています。

 

大台ケ原 日出ヶ岳

 

 

早朝には、このように雲が流れるさまをみあげることができます。


雲

 

 

・・・

シロヤシオのトンネルをくぐって正木峠をくだっていきます。

 

大台ケ原 シロヤシオ

 

 

生育過程を想像してしまう木。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

なんだか愉快ないでたちの木。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

天然ヒノキのみずみずしい葉。

 

大台ケ原 正木峠

 

 

正木峠と日出ヶ岳の間の展望台から、大杉谷方面を見下ろして。

 

大台ケ原 大杉谷方面

 

 

海側(三重県側)の斜面の、苔むした倒木。

 

大台ケ原 大杉谷方面

 

大台ケ原

 

 

この先に日出ヶ岳があります。

 

大台ケ原 日出ヶ岳へ

 

 

日出ヶ岳から駐車場へと帰る道は、奈良県側の斜面にあたるので、森林が残っています。

 

大台ケ原

 

 

 

大台ケ原にはこのほかにも、大蛇瑤箸いΩごたえある絶壁もあります。

 

大蛇ぐら

 

 

 

山の上は、雲の流れがはやいので、雲に覆われた大蛇瑤ら、みるみるうち雲がはれ、あちらの不動返しが視界にあらわれてくるさまも圧巻です。

 

大蛇

 

 

 

また、大台ケ原やドライブウェイの一部には、霧氷がつくポイントもあります。

まるで満開の花のよう。

 

霧氷

 

 

 

5月のゴールデンウィークに霧氷がついた年も。

 

霧氷

 

 

 

 

吉野熊野国立公園の特別保護地区に指定されている大台ケ原。

 

森林の再生とは?森林の保護とは?シカの食害って?

山々の、もっとも自然な姿とは?

 

大台ケ原は、廃墟か神殿あとのような立ち枯れの木が、なんだか神々しくみえてくるような場所。

 

移り変わってゆく自然の姿を感じ、自然と人間の関係について、ちょっと足をとめてかんがえてみたくなるような場所でもあります。

 

 

シロヤシオ

 

 

大台ケ原の周遊コース(東大台)での紅葉のピークは、

例年ですと10月20日前後。

それから日を追って、紅葉が低い場所へとくだっていきます。

 

近鉄電車吉野線大和上市駅から大台ケ原まで、奈良交通の特急バスがでていますので、秋のおでかけにどうぞ。

 

 

| 地域情報 | 18:00 | - | trackbacks(0) | - | - | ↑PAGE TOP
この記事のトラックバックURL
http://blog.miyagawa-shinrin.jp/trackback/1279709
トラックバック